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大阪医科薬科大学小児科の自律神経グループにおいて研究された水谷翠先生が、国際医学雑誌に、起立性調節障害の論文を発表されました。以下のような、とても貴重な科学的エビデンスのある内容です。

体位性頻脈症候群の一部では、不安との関連が強いことが分かりました。以前から、心理社会的ストレスによって、起立性調節障害が悪化することは言われていましたが、これが水谷翠先生の研究で、科学的なエビデンスが証明されたことになります。起立性調節障害の一部では、ストレスを軽減するような治療が大切だと言えますね。

 

<論文タイトル>

Association of adolescent postural tachycardia syndrome classifications with anxiety: a cross sectional study

日本語訳<思春期の体位性頻脈症候群の分類と不安との関連についえ:横断的研究>

内容について、日本語訳を以下に掲載しました。

 

<要旨>

研究背景

起立性調節障害のサブセットである体位性頻脈症候群(POTS)は、不安との関連が報告されている。体位性頻脈症候群は、起立時の頻脈の程度により2つの病型に分類できる。報告によると、起立時の心拍数増加が減少する体位性頻脈症は、仰臥位での心臓副交感神経活動の抑制と交感神経活動の亢進に関連している。本研究では、2つのタイプの体位性頻脈症候群と不安との関係を自律神経機能の観点から評価した。

 

<方法>

2019年~2021年に大阪医科薬科大学小児科で体位性頻脈症と診断された患者52名(男性23名、1015歳)に立位テストを実施し、それに応じて臥位からの頻脈と立位時の心拍数増加が少ないSu群と、立位時の心拍数増加が多いSI群に分類した。その後、State-Trait Anxiety Scale for ChildrenSTAIC)質問票に記入した。自律神経機能は、起立試験中の心拍数、血圧変化、心拍数、血圧変動に基づく頻度分析(MemCalc法)により評価した。

 

<結果>

Su群ではSI群に比べ、特性不安と状態不安が高く、仰臥位での心臓副交感神経活動(RR-HF)が低く、起立時の心臓副交感神経活動の変動が大きかった。Su群では、起立時の心臓指数がSI群よりも低下していた。

 

<結論>

Su群の結果は、慢性的に静脈還流が少ないことが一因と考えられる。また、Su群では仰臥位での副交感神経活動が低く、これはこれらの患者の不安傾向の特徴と相互作用している可能性があることがわかった。したがって、体位性頻脈症候群患者に対しては、身体的治療と心身医学的治療の両方のアプローチを考慮する必要があると思われる。

2025/2/10            


「Finapress適正使用」について説明しました。


スウェーデン ウプサラ大学小児科 ボレス教授が、OD低血圧クリニック田中を表敬訪問しました。同クリニックで実施してい­る起立試験とヘッドアップティルトテストを体験しました。



【Prof.Borres Visited Clinic】

Prof.Borres, Dept of Pediatrics, Upsala University, Sweden,  visited OD clinic. He experienced active standing and head-up tilt test applying Finometer and NIRS(near infrared spectroscopy) for simultaneous recording of beat-to-beat blood pressure and cerebral blood volume during the whole test.